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「避難スイッチ」を中心とした豪雨災害避難対策

矢守克也(京都大学防災研究所・教授)

矢守克也(京都大学防災研究所・教授)

京都大学防災研究所教授である矢守克也先生をお招きして、「「避難スイッチ」を中心とした豪雨災害避難対策」という題目でご講演頂いた。以下その概要を示す。
矢守先生は、近年の災害で犠牲者が出なかった場所、もう少し正確に、犠牲者が出て多くのメディア・多くの研究者等は注目をしている地域あるいはエリアとほぼ同等の自然現象が襲っているにも関わらず人的被害だけは食い止めた地域ばかりをリサーチすることを10年ほど続けている。

(1)避難について考えるときに大事なこと

「いつ」逃げるのか=何を「避難スイッチ」にして逃げるのか。

これまでの研究の中で、「避難スイッチ」に相当すること・もの・情報を前もって具体的にみんなで決めていた地域で犠牲者ゼロを実現している場合が相対的に多いことがわかった。

「どこへ」逃げるのか⇒行政の指定する避難場所も大事であるが、「セカンドベスト」(次善:100点満点でなくても60点とれる場所)も見つける

災害で求められる避難行動を10とした場合、実際の災害現場では1か2しかできないことも多い。そのためセカンドベスト・サードベストの避難場所を事前に考え、その場所に避難することで命が救われているケースを多くあった。右の写真は西日本豪雨の際、京都府京丹波町のある地区で利用された、住民が「お堂」と呼んでいるセカンドベストの避難場所である。

(2)「避難スイッチ」

  • 「避難スイッチ」は文字通り、避難するためのスイッチのことである。
  • 高知県黒潮町のある地区では、過去の土砂災害の経験から累積雨量200mmを「避難スイッチ」と決めている。
  • 京都府福知山市のある地区では、3つの避難スイッチを用意している。
  1. 「ポテンシャル情報」:事前の心構えを持つための災害ポテンシャル情報。
  2. 「ローカルエリアリスク情報」:地域で判断するための土壌雨量指数(過去の災害事例比較、下図
  3. 「傾斜センサー情報」:ピンポイントの異常を検知するローカル情報
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